下種げす)” の例文
下種げすの頓馬野郎め、これでも歴乎れつきとした官吏で、抑も貴樣たちとは身分が違ふぞ! だがどうも仕方がないから、おれは帽子を手にとり
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
下種げすの生れじゃないんだ。こう見えても助祭の息子でね、こんなことになる前にゃクールスクで、フロックを着ていたものさ。
追放されて (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
、この冬ぞらに火桶一ツゆるさぬなどは、下種げす復讐しかえしにも似て、武家根性がいやしまれる。決して高時公のお為にもならぬ
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「勝手に僕を尊敬する気になったんでしょうよ、なあに、あれはただの下種げす下郎ですよ、しかし時期が到来したら、前衛に立つべき人間でしょうね」
お懷かしいフィデリ樣! と、かうは言つても、あんたの名前があまり下種げすつぽいので、あたし何だかそれに馴染まれないの。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
早速ここで誓いましょう。どんな秘密でも打明けておくんなさい。こう見えても、裏切るような下種げすどもじゃござんせん
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『それに、怖ろしい神の法廷で歯がみをしてもがき廻るより、この世にいる内に自分の夫の手で折檻して貰う方がまだましだ。』けれど、下種げす女房め耳も貸しません。
女房ども (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
で、見かけは対等のつきあいでも、その実一同にとっては全然下種げす下郎にすぎなかった。
たとえば、羽衣を地におき忘れた天女がやむなく下界の下種げすの女房になったかと思われるような……潘金蓮はんきんれんという女。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はそうした誹謗ひぼうに対して主人を弁護したばかりか、主人のために喧嘩口論までして、多くの人の意見をくつがえした。『あの下種げす女の自業自得だ』と、彼は断固として言った。
なんでえ、あの下種げす野郎めが、寒中に、人のどたまから冷水をぶつかけるのを村長の役柄だと思つて、鼻を高くしてけつかるだ! へん、村長々々と威張りやあがつて。おらはおらの村長だい。
「なに、野伏が錦の旗を? ……。そんなものはとるにたらん。下種げすどもの擬勢だろう。……でなくば、伊吹の佐々木道誉が、お迎えのための軍ではないのか」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ばかな。この高時のどこが病者か。病人は天下の奴輩やつばらだ。上は主上公卿の堂上から下種げすにいたるまで、天下惣気狂いとなっている現状には相違ない。しかるに、この高時ひとりを
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下種げす、身のほどこそ知れ。臣下のまた陪臣の分際ぶんざいで、この護良へ、なにをばかな……」
建武いらい武家はむかしの下種げすとみなされ、公卿専横の御支配もすでに腐爛ふらんの状にある。みちのく、北陸、五畿ごき、山陰山陽、武家の不平の声なき所はなく、九州とても鬱勃うつぼつは久しかろう。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてふと、下種げす武者のおそこわばった構えに隙を見つけたかのようでもある。反射的に、淵辺は一ト腰そのからだを斜めに退いた。それは右手を太刀のつかにやった自然な反動でしかない。
「直義。いかにとはいえ、下種げすの喧嘩ではなかろうぞ。雑言はやめい!」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、安手によく笑う侍は、なお、下種げすゆがみ笑いを面に消さずに。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
推参すいさん下種げすどもめが、目ざわりだわ。とッとと船を遠くへ避けい!」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下種げすども、命はいらぬのか」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この下種げす、いわしておけば」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)