上流うえ)” の例文
またもの調味ちょうみには、あの甘草かんぞうという薬草やくそう粉末こなすこくわえましたが、ただそれは上流うえ人達ひとたち調理ちょうりかぎられ、一ぱん使用しようするものではなかったように記憶きおくしてります。
強請ごうせい押借おしがりというようなことが、思うように効果があがらなくなったのと、いうところの下剋上げこくじょう——下級したの者すなわち貧民達が、上流うえの者を凌ぎ侵しても、昔のようには非難されず
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まだ炎熱あついので甲乙ふたりは閉口しながら渓流たにがわに沿うた道を上流うえの方へのぼると、右側の箱根細工を売る店先に一人の男が往来を背にして腰をかけ、品物を手にして店の女主人の談話はなしているのを見た。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)