上封うわふう)” の例文
着物を脱ぎ換えてぜんに向かうと、膳の上に、茶碗蒸ちゃわんむしといっしょに手紙が一本載せてある。その上封うわふうを見たとき、三四郎はすぐ母から来たものだと悟った。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
母親ははおやは、良吉りょうきちいた上封うわふう文字もじをじっとながめて、すぐにそれをやぶろうとはしませんでした。
母の心 (新字新仮名) / 小川未明(著)
上封うわふうを見ただけで一目でそれと分る様になっているので、彼女はそれを受取ると何とも云えぬいやあな心持になったが、でも、開けて見ないでは、一層不安なので、怖々こわごわ封を切って読んで見た。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
得るは稗史はいし野乗やじよう核子かくしなれどここに築地の土佐堀は小鯔いなの多く捕れる処ゆゑ一昨夜も雨上りに北鞘町の大工喜三郎が築地橋の側の処にて漁上とりあげたのは大鯔にて直ぐに寿美屋の料理番が七十五銭に買求め昨朝庖丁した処腹の中から○之助様ふでよりと記した上封うわふうじが出たといふがモウ一字知れたら艶原稿の続きものにでもなりさうな話。
有喜世新聞の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
得るは稗史はいし野乗やじょう核子かくしなれど茲に築地の土佐堀は小鯔いなの多く捕れる処ゆゑ一昨夜も雨上りに北鞘町の大工喜三郎が築地橋の側の処にて漁上とりあげたのは大鯔にて直ぐに寿美屋の料理番が七十五銭に買求め昨朝庖丁した処腹の中から○之助様ふでよりと記した上封うわふうじが出たといふがモウ一字知れたら艶原稿の続きものにでもなりさうな話。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)