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よきをり
云送らんと
艷書に認め懷中しつゝ
好機もあらばお浪に渡さんものと來る
度毎に
窺ひ居けれ共其
間のあらざれば
空しく
光陰を
潜め
竊に
毒殺せん事一の手なるべし先藤五郎殿さへ
亡者にする時は
跡に
障りなしと言へば主税之助大きに
悦び
好機のあれかしと見合せ居けるとなり
卸しありしかば甚兵衞勝手は
豫て覺え居れば今日こそ
好機なれと
裏口へ
廻り水口を
押て見れば
案の如く
掛錠掛けざる樣子故シテ
遣たりと
直と入り
居間の
箪笥を