“やまぶき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
山吹91.0%
山蕗3.0%
茶蘼1.5%
山振1.5%
款冬1.5%
酴釄1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの早稲田の学生であって、子規や僕らの俳友の藤野古白こはくは姿見橋——太田道灌どうかん山吹やまぶきの里の近所の——あたりの素人しろうと屋にいた。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
塩引のさけを焼いたのと、山蕗やまぶきの煮浸し、木の芽味噌というさかなも、帯刀にはまったく気にいらないらしく、「いつもこんな物を喰べているのか」と三度も繰り返し訊き
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
朧月おぼろづきけている。——夜はまだ明けず、雲も地上も、どことなく薄明るかった。庭前を見れば、海棠かいどうは夜露をふくみ、茶蘼やまぶき夜靄よもやにうなれている。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茶蘼やまぶきの花の乱れ咲いている池畔へかがみこんで、きょうの酒をみな吐いてしまった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前にあった、「かはづ鳴く甘南備かむなび河にかげ見えて今か咲くらむ山振やまぶきの花」(巻八・一四三五)もまた名詞止だが、幾分色調の差別があるようだ。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
また古典のうえでは“——木曾は信濃を出でしより、巴、款冬やまぶきとて二人の美女を具せられたり”とみえ、山吹の名にはむずかしい字が当ててある。それも「木曾最期」の一章にしか出ていない。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木曾桜酴釄やまぶき殊妙、其外花盛に御座候而驚目申候。総而木曾之山水、豚児輩感心仕候。僕も一昨年より増り候様に覚申候。御紀行毎夕読候而御同行仕候様に奉存候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)