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むすびがみ
その火の光りでこゝに
居ります女を見ると、
年頃は三十二三
服装は
茶弁慶の
上田の
薄い
褞袍を
被て
居りまして、
頭髪は
結髪でございまして、
目もとに
愛嬌のある
仇めいた女ですが
好いもんじゃア有りやせんが銘仙か
何かの着物が出来ておつな帯を
締ましたよ、
宜い
装をすると
結髪で働いて居る時よりゃア又
好く見えるね、
内々魚などを買って喰う様子でげすぜ
達摩返しと云う
結髪で、
一寸いたした
藍の
万筋の小袖に黒の
唐繻子の帯で、上に
葡萄鼠に小さい
一紋を付けました
縮緬の
半纏羽織を着まして、其の頃
流行った吾妻下駄を穿いて這入って来る。