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みずいろちりめん
水色縮緬の
蹴出の
褄、はらはら
蓮の
莟を
捌いて、素足ながら清らかに、草履ばきの
埃も立たず、急いで迎えた少年に、ばッたりと藪の前。
源氏車や
菊寿の
提灯に火が入って、
水色縮緬に
緋羅紗の帯が、いくつも
朧の
雪洞にうつって、
歌吹の海に
臙脂が流れて、お
紺が泣けば
貢も泣く頃には、右の間の山から、中の地蔵、
寒風の松並木
羽織なしの
引かけ
帯、ゆるやかな
袷の着こなしが、いまの身じろぎで、
片前下りに
友染の
紅匂いこぼれて、
水色縮緬の
扱帯の
端、ややずり
下った
風情さえ、
杖には似合わないだけ