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ふつ/\
お比奈はパツと
裾を蹴返すと、一
瞬、鬪志
沸々たる惡少年皆吉になつて居りました。
加ふるに寒肌
粟を生じ沼気
沸々鼻を
衝く、
幸ひに前日来
身躰を
鍛錬せしが為め
瘧疫に
罹るものなかりき、沼岸の
屈曲出入は
実に犬牙の如く、之に
沿うて
渉ることなれば
進退容易に
捗取らず
霧
沸々として到るに
遇ふ、天そゝり立つ大嶽とは
是れか、眼前三四尺のところより胴切に遇ひて、
殆んど山の全体なるかを想はしむ、下界
屡ば見るところの
井桁ほどなる雲の穴より
或は
皺を延ばし