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どうぶるい
トタンにがらがらと
腕車が一台、目の前へ
顕れて、
人通の中を
曵いて通る時、
地響がして土間ぐるみ五助の
体はぶるぶると
胴震。
ト文三は
慄然と
胴震をして
唇を
喰いしめたまま
暫らく
無言、
稍あッて
俄に
喟然として歎息して
間の襖を
締切って、そこにあった小さな机の上に
洋燈を置き、同じくそこにあった
小坐蒲団の上に身を置くと、初めて
安堵して我に返ったような気がした。同時に寒さが
甚く身に
染みて
胴顫がした。