“きょむ”の漢字の書き方と例文
語句割合
虚無100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
冷却れいきゃくしてのち飛散ひさんするとすれば、高尚こうしょうなるほとんかみごと智力ちりょくそなえたる人間にんげんを、虚無きょむより造出つくりだすの必要ひつようはない。そうしてあたかあざけるがごとくに、またひと粘土ねんどする必要ひつようい。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
国見や妙見にはつつじが美しく咲いていたので、その美くしい色彩が、虚無きょむの間に瞬間的に見えてはまた消えるその夢幻的な濃霧の遊戯を見ただけで、私はむくいられた気がした。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
彼は、女々めめしく郷里の母を想い出し、また、思うともなくい鴻芙蓉こうふようの麗しい眉や眼などを、人知れず胸の奥所おくがに描いたりして、なんとなく士気の沮喪そそうした軍旅の虚無きょむと不平をなぐさめていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)