“おはぐろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
鉄漿78.9%
鐵漿7.9%
黒漿5.3%
御歯涅2.6%
御歯黒2.6%
鉄醤2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三十二というにしては恐ろしく若く、色白の無造作な化粧、鉄漿おはぐろもつけず、眉も落さないのが、反ってこの女を新鮮に見せるのでしょう。
『ハイ。そでごあんすどもなす、先生樣、兄弟何方も一年生だら、可笑をかしごあんすべアすか?』と、老女は鐵漿おはぐろの落ちた齒を見せて、テレ隱しに追從笑ひをした。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
と、老女は黒漿おはぐろの落ちた歯を見せて、テレ隠しに追従つゐしよう笑ひをした。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
石鹸シャボン泡沫ほうまつ夢幻むげんの世に楽をでは損と帳場の金をつかみ出して御歯涅おはぐろどぶの水と流す息子なりしとかや。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御歯黒おはぐろ蜻蛉とんぼが、鉄漿かねつけた女房にょうぼの、かすかな夢の影らしく、ひらひらと一つ、葉ばかりの燕子花かきつばたを伝って飛ぶのが、このあたりの御殿女中の逍遥しょうようした昔の幻を、寂しく描いて、都を出た日
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年の頃は二十歳はたちそこそこ、色は少し浅黒い方、にっこりすると美しい歯並みが見えて、少しも鉄醤おはぐろ臭くないのが、まず忠弘には嬉しい風俗でした。