御歯黒おはぐろ)” の例文
御歯黒おはぐろ蜻蛉とんぼが、鉄漿かねつけた女房にょうぼの、かすかな夢の影らしく、ひらひらと一つ、葉ばかりの燕子花かきつばたを伝って飛ぶのが、このあたりの御殿女中の逍遥しょうようした昔の幻を、寂しく描いて、都を出た日
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)