鐵漿おはぐろ)” の例文
新字:鉄漿
寢衣ねまきも何もはだけ放題にはだけて、太腿ふともゝまでもあらはに、口のあたりには、鐵漿おはぐろのやうなものがベタ/\附いてゐる。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
『ハイ。そでごあんすどもなす、先生樣、兄弟何方も一年生だら、可笑をかしごあんすべアすか?』と、老女は鐵漿おはぐろの落ちた齒を見せて、テレ隱しに追從笑ひをした。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
と、お由は鐵漿おはぐろの剥げた穢ない齒を露出むきだにして、ワッハヽヽと男の樣に笑つたものだ。鍛冶屋の門と此の家の門に、『神道天理教會』と書いた、丈五寸許りの、硝子を嵌めた表札が掲げられた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)