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おくりだ
今日私を
他郷へ流転の旅に
送出そうとした中谷が来ているのだ。
親友を
送出して、アンドレイ、エヒミチはまた
読書を
初めるのであった。
夜は
静で
何の
音もせぬ。
時は
留って
院長と
共に
書物の
上に
途絶えてしまったかのよう。
家の中は区役所の
出張員が
硫黄の煙と
石炭酸で消毒した
後、まるで
煤掃きか
引越しの時のやうな
狼藉に、
丁度人気のない
寂しさを加へて、
葬式の
棺桶を
送出した
後と同じやうな
心持である。