月見草つきみさう)” の例文
夕涼ゆふすゞみにはあしあかかにで、ひかたこあらはる。撫子なでしこはまだはやし。山百合やまゆりめつ。月見草つきみさうつゆながらおほくは別莊べつさうかこはれたり。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
せまには垣根かきね黄色きいろてふいくつもとまつてしきりにはねうごかしてるやうに一つ/\にひらり/\とひらいては夜目よめにもほつかりとにほうて月見草つきみさう自分等じぶんらよるたと
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
十九と聞きましたが、境遇きやうぐうのせゐか、年よりはふけて、二十二三と言つても通るでせう。少し陰氣な感じですが、素晴しい美人で、何となく藪蔭やぶかげに咲きほこつて居る月見草つきみさうを思はせる娘でした。
河土手に蛍のにほひすずろなれど朝間あさまはさびし月見草つきみさうの花
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あくたに流れて寄れる月見草つきみさうしべなれ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
二時やつさがりに松葉まつばこぼれて、ゆめめて蜻蛉とんぼはねかゞやとき心太ところてんおきなこゑは、いち名劍めいけんひさぐにて、打水うちみづ胡蝶てふ/\おどろく。行水ぎやうずゐはな夕顏ゆふがほ納涼臺すゞみだい縁臺えんだい月見草つきみさう
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
指にはさみぬ、月見草つきみさう
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
前栽せんざい強物つはものの、はないたゞき、蔓手綱つるたづな威毛をどしげをさばき、よそほひにむらさきそめなどしたのが、なつ陽炎かげろふ幻影まぼろしあらはすばかり、こゑかして、大路おほぢ小路こうぢつたのも中頃なかごろで、やがて月見草つきみさうまつよひぐさ
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れた黄いろの月見草つきみさう
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
くさがくれのともに、月見草つきみさういた、苫掛船とまかけぶねが、ついとゞくばかりのところ白砂しらすなあがつてて、やがて蟋蟀こほろぎねやおもはるゝのが、數百すうひやく一群ひとむれ赤蜻蛉あかとんぼの、うすものはねをすいとのばし、すつとふにつれて、サ
十和田の夏霧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)