御遠慮ごゑんりよ)” の例文
(おまをすとなりましたら、あの、他生たしやうえんとやらでござんす、あなた御遠慮ごゑんりよあそばしますなよ。)おそろしく調子てうしいぢやて。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
流石さすがのおけるお他人たにんにはすこ大人をとならしくおあそばせど、お心安こヽろやすだてのわがまヽか、あま氣味ぎみであのとほりの御遠慮ごゑんりよなさ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どうも有難ありがたぞんじます……左様さやうなら御遠慮ごゑんりよなしに頂戴ちやうだいいたしますと、亭主ていしゆ河合金兵衛かはひきんべゑちやつてるあひだに、小丼こどんぶりまへ引寄ひきよせて乞食こじきながらも、以前いぜんは名のある神谷幸右衛門かみやかうゑもん
「いえ、ちつとも御遠慮ごゑんりよにはおよびません。みちため御座ございますから」とゆかしいことつた。さうして、目下もくか自分じぶんところに、宗助そうすけほかに、まだ一人ひとり世話せわになつてゐる居士こじのあるむねげた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
取揃とりそろ自身じしんに持來たれば清兵衞は長兵衞に向ひ嘸々さぞ/\草臥くたひれしならん然樣さう何時までもかしこまり居ては究屈きうくつなりモシ/\御連おつれしゆ御遠慮ごゑんりよなさるなコレサたひらに/\と是より皆々くつろぎ兄弟久しぶりにての酒宴しゆえんとなり女房もそばにてしやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
串戲じようだんぢやありません、眞個ほんとうです。……ですから二階同士にかいどうし結構けつこうですとも。……そして、わたしに……とおつしやつて、貴女あなたなんでございます……御遠慮ごゑんりよりません。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なにはゞかりての御遠慮ごゑんりよぞやくわんずれば御恨おうらみも未練みれんなにもあらずお二かたさま首尾しびとゝのひしあかつきにはいさぎよく斯々かう/\して流石さすが貞操みさをたつるとだけきみさまにられなばそれ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
へい/\有難ありがたぞんじます、うも折角せつかくのお厚情なさけでございますから、御遠慮ごゑんりよ申上まうしあげませぬでお言葉ことばしたがつて、御免ごめんかうむります。主「どうもお人品ひとがらなことだ、ちがふのうー……さア/\此方こつちへおはいり。 ...
頼み度事あつてきたが頼まれて呉ねへかと云で長八夫は何の用かは知ね共萬端ばんたん御世話になる貴方あなたゆゑ私しで間に合事なら決して否とは云ません御遠慮ごゑんりよなく御咄おはなしなされと云ば長兵衞は喜びさう請合うけあつて呉れば拙者せつしやまことに頼みいゝ實は私しが兄に清兵衞と云者ありしが若き中は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
へてれとらさぬ用心ようじんむかし氣質かたぎいつこくを立通たてとほさする遠慮ゑんりよ心痛しんつうおいたはしやみぎひだり御苦勞ごくらうばかりならばおよめさまなり舅御しうとごなり御孝行ごかうかう御遠慮ごゑんりよらぬはず
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まへまあちつやすんでと、深切しんせつにほだされて、なつかしさうに民子たみこがいふのを、いゝえ、さうしてはられませぬ、お荷物にもつ此處こゝへ、もし御遠慮ごゑんりよはござりませぬ、あし投出なげだして
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わくものなれば今なくとも出來る時節じせつ有事あることゆゑもし其樣な事にて御心配しんぱいなさるは御無用なり縱令たとへ御貯おたくはへの路金ろぎんつきたりとも御病氣御全快ごぜんくわい迄は御心しづかに御逗留とうりう成るべし其間は何によらず御入用有ばおほせられよ又少々の金子なれば隨分ずゐぶん用立ようだて申べし必ず然樣な事に御遠慮ごゑんりよあるべからずと深切しんせつなる亭主の言葉にお花はなみだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おんな不思議ふしぎさうにつてゆくをきやくきゝすましてわらひながら御遠慮ごゑんりよにはおよばない、つてたらからう、なにもそんなに體裁ていさいにはおよばぬではないか、可愛かわいひと素戻すもどしもひどからう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
貴僧あなた、それでもおねむければ御遠慮ごゑんりよなさいますなえ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
假令たとへにかへいのちにかへてもくしまゐらするこゝろなるを、よしなき御遠慮ごゑんりよはおくだされたしとうらがほなり、これほどまでにおもひくるゝ、其心そのこゝろらぬにもらぬを、このごろ不愛想ぶあいさうこゝろもだゆるまゝに
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)