ばう)” の例文
あるひいはく——禮服れいふく一千兩いつせんりやう土用干どようぼし——大禮服たいれいふく東京とうきやう出來できた。が、ばういたゞき、けんび、手套てぶくろしぼると、すわるのがへんだ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
屹度きつと返却かへします、屹度きつと。』などとちかひながら、またばうるなりつた。が、大約おほよそ時間じかんつてからかへつてた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おもて左右さいうからみせあきらかであつた。軒先のきさきとほひとは、ばう衣裝いしやうもはつきり物色ぶつしよくすること出來できた。けれどもひろさむさをらすにはあまりに弱過よわすぎた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
道翹だうげうけたときあたましたはうひてにやりとわらつたが、返事へんじはしなかつた。これが拾得じつとくだとえる。ばうかぶつたはう身動みうごきもしない。これが寒山かんざんなのであらう。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
やがてでゆきぬばうなき男
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
やりをかざれるとたんばう
げ、ばうり、ステツキはしなどして、わあわつとこゑげたが、うちに、一人ひとりくさおちをんな片腕かたうでたものがある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝろ不覺そゞろ動顛どうてんして、匇卒いきなりへや飛出とびだしたが、ばうかぶらず、フロツクコートもずに、恐怖おそれられたまゝ、大通おほどほり文字もんじはしるのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そのあさからからかぜすさんで、折々をり/\ほこりともひとばううばつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一人ひとりかみの二三ずんびたあたまして、あしには草履ざうり穿いてゐる。いま一人ひとりかはんだばうかぶつて、あしには木履ぽくり穿いてゐる。どちらもせてすぼらしい小男こをとこで、豐干ぶかんのやうな大男おほをとこではない。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
丁度ちやうど其時そのときにははひつてたのは、いましもまちあさつて猶太人ジウのモイセイカ、ばうかぶらず、跣足はだしあさ上靴うはぐつ突掛つツかけたまゝ、にはほどこしちひさいふくろげて。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かれ高野山かうやさんせきくものだといつた、年配ねんぱい四十五六しじふごろく柔和にうわな、何等なんらえぬ、可懐なつかしい、おとなしやかな風采とりなりで、羅紗らしや角袖かくそで外套ぐわいたうて、しろのふらんねるの襟巻えりまきめ、土耳古形とるこがたばうかむ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まどで、かればうぐのに、驛員えきゐん擧手きよしゆして一揖いちいふした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしは、とるばうもなしに、一禮いちれいして感佩かんぱいした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ばうひさしおさへたまゝつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)