仕掛しかけ)” の例文
けれどももとより、舞台ぶたいにはなんの仕掛しかけもありませんし、さるは人形の中にじっとかがんでいますので、だれにも気づかれませんでした。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
えんから足をぶらさげれば、すぐとかかとこけに着く。道理こそ昨夕は楷子段はしごだんをむやみにのぼったり、くだったり、仕掛しかけうちと思ったはずだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お光さんにと云よりお光は翌日あした仕掛しかけ米淅桶こめかしをけを手にさげて井戸端へとて行ん物とお金の前を通り掛ればお金は夫と見るよりもお光を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一「セカンド」は大抵たいていみやく一動いちどうおなじ。さて時計とけい盤面ばんめんを十二にわかち、短針たんしん一晝夜いつちうやに二づゝまはり、長針ちやうしんは二十四づゝまは仕掛しかけにせり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
ひと小僧こぞう豆腐買とうふかいは、流灌頂ながれかんちょう野川のがわへりを、大笠おおがさ俯向うつむけて、跣足はだしでちよこ/\と巧みに歩行あるくなど、仕掛しかけものに成つて居る。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
肉体にくたいててこちらの世界せかい引越ひきこしたものになりますと、ほとんどすべての仕事しごとはこの仕掛しかけのみによりておこなわれるのでございます。
「まあ待てよ、そこにはまたたね仕掛しかけがあるんだ。その天竜寺という寺へよ、この三日ばかり前から遊行上人ゆぎょうしょうにんが来ているんだ」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
本雨ほんあめといひ糊紅のりべに仕掛しかけといふが如き舞台における極端なる部分的の写実は浮世絵師が婦女の頭髪と降雨こううとを一本々々に描きたるに比すべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ある時は長いU字形に屈折した暗箱あんばこを作って、その中へ沢山のレンズや鏡を仕掛しかけ、不透明な物体のこちらから、まるで何の障害物もない様に
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
甲板かんぱんのうえに出ている枠型空中線わくがたくうちゅうせんの支柱を、把手ハンドルによってすこしずつ廻していると、電波がどっちの方向から来ているか分る仕掛しかけになっていた。
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「かうだ婆等ばゞあらだつてさうだに荷厄介にやつけえにしねえでくろよ、こんでぢやまあだれなくつちやくらやみだよおめえ、よめがあの仕掛しかけだもの」ばあさんはさら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そこらの歯みがき屋さんのつかう仕掛しかけ独楽とは大きにことちがい、種やからくりのない正銘な芸と早技はやわざ、あざやかにまいりましても投げ銭はおことわり
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ娼妓しょうぎたちでしょう、頭にかぶさる位の大きな島田髷しまだまげに、花簪はなかんざしの長い房もゆらゆらと、広い紅繻子べにじゅす緋鹿ひがえりをかけた派手な仕掛しかけ姿で、手拍子を打って
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
んなやついかしてくよりたゝきころすはう世間せけんのためだ、おいらあ今度こんどのまつりには如何どうしても亂暴らんぼう仕掛しかけとりかへしをけようとおもふよ、だからのぶさん友達ともだちがひに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「顔は黒うってますが、心は同じ日本人でさア」その言葉の終らないうちに、虎さんの直球が、黒ん坊の額にはずみ、彼が引繰ひっくり返ると、そのはずみに仕掛しかけが破れ
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
水を離れた蟹はお日様の熱ですぐ甲羅こうらがかわいてしまいます。けれども口の中にはちゃんと水気があるような仕掛しかけが出来ていますから、目まいがすることはありません。
椰子蟹 (新字新仮名) / 宮原晃一郎(著)
丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆彈を仕掛しかけて來た奇怪な惡漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆發をするのだつたらどんなに面白いだらう。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
だから、あいつが御用ごようになつて、茶屋の二階から引立ひつたてられる時にや、捕縄とりなはのかかつた手の上から、きり鳳凰ほうわうぬひのある目のさめるやうな綺麗きれい仕掛しかけ羽織はおつてゐたと云ふぢやないか。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
と、有り合はせのならとちと桐としきみと柿と椎と松と杉とと桑とを詠み込んで見せたものだ。すると、大名はぜんまい仕掛しかけ玩具おもちやでも見せられたやうに首をひねつて感心してしまつたといふことだ。
それで玉子酒たまござけ仕掛しかけをしてましたが、そののこりをおまへんだのさ。
説明せつめいはそのかべにうつる仕掛しかけになつてゐる
……その弁慶が、もう一つ変ると、赤い顱巻はちまきをしめたたこになって、おどりを踊るのですが、これには別に、そうした仕掛しかけも、からくりもないようです。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「このたび私が人形をひとりでおどらせるじゅつを、かみからさずかりましたので、それを皆様みなさまにお目にかけます。このとおり人形には、なんの仕掛しかけもございません」
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
あめほうはただ一人ひとり竜神りゅうじん仕事しごとじゃった。そなた一人ひとりめにらせたまでの俄雨にわかあめであるから、したがってその仕掛しかけもごくちいさい……。が、かみなりほうはあれで二人ふたりがかりじゃ。
これをかけておくと、無電技士が受話器を耳に番をしていなくても、遭難の船から救いをもとめるとすぐ器械がはたらいて、電鈴でんりんが鳴りだす仕掛しかけになっているものだ。
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
古川ふるかわの持っている田圃たんぼ井戸いどめてしりを持ち込まれた事もある。太い孟宗もうそうの節を抜いて、深く埋めた中から水がき出て、そこいらのいねにみずがかかる仕掛しかけであった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まねき三人なにひそか耳語さゝやきけるがほどなく清三郎は出行いでゆきたり是は途中とちうにて惡者わるものに喧嘩を仕掛しかけさせ屋敷より請取うけとりきたる六十兩をうばひ又七は此金を受取うけとり遊女いうぢよがよひにつかこみしと云立いひたてそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「よく見ていてくれ給えよ。僕の使う魔術には、種も仕掛しかけもないのだから。」
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これは仕掛しかけがあって、誰か上人の方へ筒抜けをする機関からくりだとこう思ったから、小手調べに二つ三つ手近なやつを引ん抜いてみたら驚くじゃねえか、ちゃあんとあの上人が見抜いてしまやがった。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
魔の女め、姿まで調ととのえた。あれに(ひじ長く森をす)形代かたしろはりつけにして、釘を打った杉のあたりに、如何いかような可汚けがらわしい可忌いまいましい仕掛しかけがあろうも知れぬ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは、いかにもアメリカがやりそうな、ばかばかしい仕掛しかけである。こういう動く島を、これからたくさんこしらえて、太平洋の方々に浮かべておくつもりなんだろう。
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
秋が深いので芝の色が大分めてゐる。競技を看る所は西側にある。うしろに大きな築山つきやまを一杯に控へて、前は運動場のさくで仕切られたなかへ、みんなを追ひ込む仕掛しかけになつてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なしけつして覺え之なく又七事妻を差置さしおき下女に不義を仕掛しかけ不屆ふとゞきつき離縁りえん致さんと存じ候處かくの訴へに及びし迄にて候何卒なにとぞ御慈悲おじひを以て又七儀離縁りえん仕つる樣願ひ上奉つると申立るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こんな細工さいくをしましたのよ、わたしの頭の上の仕掛しかけ
しかしとにかくこの怪塔に、おどろくべき最新科学による仕掛しかけがしてあることはたしかです。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ある所は足の下も掘り下げて、暗い所にさまざまの仕掛しかけが猛烈に活動していた。工業世界にも、文学者の頭以上に崇高なものがあるなと感心して、すぐそのむねを飛び出したくらいである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「立派な仕掛しかけだろがねえ。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
重力を打消うちけ仕掛しかけが、あの砲弾の中にあるのだ。これはわしの発明ではなく、もう十年も前になるが、アメリカの学者が、ピエゾ水晶片すいしょうへんを振動させて、油の中に超音波ちょうおんぱを伝えたのだ。
木下闇こしたやみの一本路が一二丁先で、ぐるりと廻り込んで、先が見えないから、不意に姿を出したり、隠したりするような仕掛しかけにできてるのかも知れないが、何しろ時が時、場所が場所だから
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それをこまかに割りつけて見ると、一分にと列車ぐらいずつ出入でいりをする訳になる。その各列車がきりの深い時には、何かの仕掛しかけで、停車場間際まぎわへ来ると、爆竹ばくちくのような音を立てて相図をする。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
裏口の道にも危険な仕掛しかけが用意されてあった。しかし今ではそれがもう役にたたない。仕掛が故障となっているためだった。だから四少年はまず無事のうちに、屋敷内に送り込まれたのである。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この屋敷には、ヤリウス様のお好みによって作られた秘密の部屋や通路や仕掛しかけるいがたくさんある。そのことは左平には話してなかったので、私はその秘密の部屋にかくれて暮すことができる。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
仕掛しかけだけはすこぶる巧妙こうみょうなものだが、実際はすこぶる不手際である。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人間の心がわかる仕掛しかけがあるというのだ。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
意外な仕掛しかけ
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)