ひとし)” の例文
新字:
その歌は數千のしろかねの鈴ひとしく鳴りて、柔なる調子の變化きはまりなきが如く、これを聞くもの皆頭を擧げて、姫が目よりみなぎり出づる喜をおのが胸に吸ひたり。
傳平でんべいふもの請人うけにんひとし仲間ちうげん住込すみこんでたのであつた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
召捕とはるゝやと云せもあへず越前守大音に飴色あめいろ網代あじろ蹴出けだし黒棒くろぼうは勿體なくも日本ひろしと雖も東叡山御門主に限るなり然程に官位の相違する天一坊が宮樣みやさまひとしき乘物に乘しは不屆なれば召捕といひしなり此の時山内から/\と打笑ひ越前守殿左樣にしらるゝなら尋ぬるには
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「サン、カルロ」座なる數千の客は我に何の由縁ゆかりもなきに、口をひとしうして喝采したり、われは惠深き君の我喜を分ち給はんことをはかりしにと答へたり。