鼓子花ひるがお)” の例文
鼓子花ひるがおさへ草いきれに色褪せて、砂も、石も、きら/\と光を帯びて、松の老木おいきの梢より、糸を乱せる如き薄き煙の立ちのぼるは、木精こだまとか言ふものならむ。
紫陽花 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
垣の鼓子花ひるがおしおれていた。(明治39・8)
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さればとて、これがためにその景勝をきずつけてはならぬ。大崩壊おおくずれいわおはだは、春は紫に、夏は緑、秋くれないに、冬は黄に、藤を編み、つたまとい、鼓子花ひるがおも咲き、竜胆りんどうも咲き、尾花がなびけば月もす。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)