黒革くろかわ)” の例文
と云いながら、肩から下げていた、黒革くろかわのケースを、叮嚀にかぎで開いて、その中から、いとも古風な双眼鏡を取り出してそれを私の方へ差出すのであった。
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
黒革くろかわ張りに錠前じょうまえ角当ての金具が光って、定紋のあったとおぼしき皮の表衣おもてはけずってあるが、まず千石どころのお家重代のものであろう。女はこれへ眼をつけた。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
黒革くろかわ陣羽織じんばおり、これなん、もと柴田家しばたけ浪人ろうにん上部八風斎かんべはっぷうさいこと、あだ名はれいのはなかけ卜斎ぼくさいでとおる人物。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒革くろかわよろい具足にがっしり身をかためた四十がらみの武者が、部下の中から走り出してひざまずいた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒革くろかわ張りに真鍮しんちゅうびょうを乱れ打ちに打った、津賀閑山が騒ぎまわっている、あの鎧櫃だ!
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
光秀は白地銀襴ぎんらんの陣羽織に黒革くろかわの具足をまとっていた。おどしの糸は総萌黄そうもえぎであった。太刀もく、良い鞍をすえていた。常の彼よりはこの日の彼は非常に若々しく見られた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天正九年十月、成願寺せいがんじの激戦に、立烏帽子たてえぼしの前立に、黒革くろかわのよろいを朱にさせ、苦戦の味方を
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふと築山つきやまを仰ぐと、小六正勝は、折から、薄暮の空に見える二日月の下に、黒革くろかわの胴を着こみ、大太刀を横たえて、軽装ながら、どこか家党の頭目らしい貫禄をそなえて、石像のように
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)