黍畑きびばたけ)” の例文
黍畑きびばたけ、桑畑などから、それを見つけて、附近の部落の腕白者や、洟垂はなたれを背負った老婆としよりなどが、いなごのようにぞろぞろ出て来て
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荘子の腰を下している黍畑きびばたけの縁の土坡どての前は魏の都の大梁たいりょうから、韓の都の新鄭を通り周の洛邑らくゆうに通ずる街道筋に当っていた。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「庭には鶏頭けいとうがある——ざくろがある、黍畑きびばたけがある、鶏が遊んでいる、おお、おお、いたちが出やがった、そら」
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
三日の月ほそくきらめく黍畑きびばたけ黍は黍とし目の醒めてゐつ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
黍畑きびばたけに立ちたり二十五の女は
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「あっ、いけねえ、森道を狙って、向うの部落から雷横の手勢が出てきやがった。名主さん、かまわねえから、そこらの黍畑きびばたけを突ッ走って、とにかく南へ南へと急ぎなせえ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清澄の茂太郎が、ふと蘆笛ろてきの吹奏をやめて、黍畑きびばたけのあなたを見やった時、せっかく、首をふりかけた表情のない動物が、愕然がくぜんとして恍惚こうこつからめて、のどを鳴らしはじめました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
海ぞいの黍畑きびばたけ
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
不意にその黍畑きびばたけの方から、名前を連呼しながら飛び出して来たのは、兵部の娘です。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
笛をやめた茂太郎は、耳をすまして黍畑きびばたけのかなたを見つめました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)