“黄金鎖（きんぐさり）”の例文

ぞんざいな浴衣がけの、ちょっきり結びの兵児帯（へこおび）に搦（から）んだ黄金鎖（きんぐさり）には、磁石が着いていも何にもせぬ。

吉原新話 (新字新仮名) ／泉鏡花(著)

官員で、朝帰りで、洋服で、釣ってりゃ馬鹿だ、と天窓（あたま）から呑んでかかって、中でも鮒（ふな）らしい奴の黄金鎖（きんぐさり）へ手を懸ける、としまった！　この腕を呻（うん）と握られたんだ。

婦系図 (新字新仮名) ／泉鏡花(著)

我儘も品（しな）によりまさ。金剛石（ダイヤモンド）や黄金鎖（きんぐさり）なら妾（めかけ）の身じゃ、我儘という申立てにもなりませんがね。

南地心中 (新字新仮名) ／泉鏡花(著)

ちらりと紅（くれない）の透（とお）る、白襟を襲（かさ）ねた端に、一筋キラキラと時計の黄金鎖（きんぐさり）が輝いた。

露肆 (新字新仮名) ／泉鏡花(著)

浴衣（ゆかた）ながら帯には黄金鎖（きんぐさり）を掛けていたそうでありますが、揺れてその音のするほど、こっちを透（すか）すのに胸を動かした、顔がさ、葭簀（よしず）を横にちらちらと霞（かすみ）を引いたかと思う、これに眩（めくるめ）くばかりになって

春昼 (新字新仮名) ／泉鏡花(著)

“黄金”で始まる語句