黄身きみ)” の例文
小山君、よく見給え、玉子を皿の上へ割ってみて黄身きみがこの通り中高なかだかに盛上っていて白身も二段か三段に高くなっているのは新しい証拠だ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
伯母さんは鶏卵たまご黄身きみをまん中にして白身を四角や三角に焼くのが上手だ、駿河台へニコライ堂が建つとき連れてってくれたのもこの伯母さんだ。
ランチュウのがありまして、こいつは、うまくそだてりや、たいしたものになるでしよう。いえ値段ねだんはいいです。さしあげるんですよ。えさは、当分とうぶんのうち、たまご黄身きみにしてください。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
鶏卵けいらんにたとえていえばちょうど黄身きみ白身しろみもまだ判然と分かれておらぬ程度である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
黄身きみから先にゆだって白身があとからゆだるという、嘘だろうというと本当だと番頭も云ったが、白身はなんともない、きみが温まるので、上の方があったまらねえで、心がちゃんとへその下があったまるので
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
来年かれると芽が出て空気中の養分を取るまで土の下でその若芽わかめを養っているのですから胚乳と申します。玉子でいえば黄身きみと同じ事です。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
... 揚げます時黄身きみでくるみますから残った白身を珈琲の方へ廻しました」大原「なるほど、やっぱり無駄にはならん。しかし今日のは味が格別ですね」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
第五 玉子ソースのペラオ飯 は前にある白ソースの出来上った処を一旦いったん火からおろして玉子の黄身きみ二つを入れてよく掻き混ぜてまた弱火とろびへかけて三、四分間掻き廻したものです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
煮えた時塩胡椒を加えて玉子の黄身きみ二つを混ぜてましておきます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)