麻繩あさなわ)” の例文
新字:麻縄
フランスは最も平然と自ら腰に麻繩あさなわをまとう。最初に目ざめ、最後に眠る。まっすぐに前進する。実に一つの探求者である。
それは、こっちの断崖と向うの絶壁の間に渡されてある一筋の蔓繩つるなわと、タランとそれに添うてたるんでいる一本の麻繩あさなわ
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あがけばつまづき、躓いては踠き、揚句あげくに首も廻らぬ破目はめに押付けられて、一夜あるよ頭拔づぬけて大きな血袋ちぶくろ麻繩あさなわにブラ下げて、もろくもひやツこい體となツて了ツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
オランダ人で伝法肌デスペラドといったような男がシェンケから大きなばりを借りて来てこれに肉片をさし、親指ほどの麻繩あさなわのさきに結びつけ、浮標にはライフブイを縛りつけて舷側げんそくから投げ込んだ。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)