鯉魚りぎょ)” の例文
第三は肉筆掛物中の鯉魚りぎょ幽霊または山水。第四は摺物なり。美人風俗画は比較的その数少くまた北斎作中の上乗じょうじょうなるものにあらず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
神慮しんりょ鯉魚りぎょ等閑なおざりにはいたしますまい。略儀ながら不束ふつつか田舎いなか料理の庖丁をお目に掛けまする。」と、ひたりと直つて真魚箸まなばしを構へた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「判った。だが、昭公が一緒に居たのは、しかとおなごかな。鯉魚りぎょをおなごと見誤ったのではないかな」
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かの大判の竪絵たてえ鯉魚りぎょ滝上たきのぼりの図は外人ひとしく称美する処なれども、余はそれよりも英泉の作中にては名所絵と美人画とを採らんと欲す。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あの漂白さすらいの芸人は、鯉魚りぎょの神秘をた紫玉の身には、最早もはや、うみしるの如く、つばよだれくさい乞食坊主のみではなかつたのである。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
目前まのあたり鯉魚りぎょの神異を見た、怪しき僧の暗示と讖言しんげんを信じたのであるから、今にも一片の雲は法衣の袖のように白山の眉に飜るであろうと信じて、しばしを待つ
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やうな大魚たいぎょしかし出世魚しゅっせうおと申す鯉魚りぎょの、お船へ飛込とびこみましたと言ふは、類希たぐいまれな不思議な祥瑞しょうずい
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかも出世魚と申す鯉魚りぎょの、お船へ飛込みましたというは、類稀たぐいまれな不思議な祥瑞しょうずい
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)