馴鹿トナカイ)” の例文
そういって、その瓶を目よりも高く差し上げると、また飛び跳ねる馴鹿トナカイの仔のように活溌に走り出した。素足の裏が白く白くかえった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
しばらくフヰンランドへ行っていられて、馴鹿トナカイそりの話などして呉れました。長身で整った身体に鳶色とびいろのジャンパーを着ていました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
直径が二尺近い盞形さかずきがたをしたもので、外側には露西亜ルッソビザンチン特有の生硬な線で、アイヷソウフスキーの匈奴フン馴鹿トナカイ狩の浮彫が施されていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
一部の肉はよく保存され「それが凍っているかぎり馴鹿トナカイや馬の凍肉のように暗紅色をして新鮮な様子で」あったが
永久凍土地帯 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
その遺骨おびただしく、当時の人の遺物とともに残れるを見ると、当時の人は専ら野馬猟を事とし、その肉を食用したので、野馬の遺骨を、当時の人が骨や馴鹿トナカイ角に彫り付けた野馬の図から推して
馴鹿トナカイの臭みがして小汚くて、赤と黄との図案があまりにけばけばして、子供でもない自分が肩から引掛けるのはいささか気がさしたが、そこはそれ旅の気安さであった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
あの桃いろのスカアトを跳ね跳ねして、まるで乳房の張った馴鹿トナカイのようにおどっているのは。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)