香露こうろ)” の例文
あのしなやかなる黒髪引詰ひきつめに結うて、はらわた見えたるぼろ畳の上に、香露こうろなかばたまなおやわらか細軟きゃしゃ身体からだいといもせず、なよやかにおとなしくすわりてる事か、人情なしの七蔵め
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ところで、この仙境は、その日とつぜん、眼をさましたように、一山の鐘台しょうだいから鐘の音をゆり起した。木々は香露こうろをふりこぼし、園の仙鶴は羽バタき、全山の禽獣きんじゅうも、一せいに驚き啼いた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)