きやう)” の例文
その間に僕等に茶をきやうすることを命じたり、ぼんたんを持つて来て食はせることを命じたり、いろいろ細かいところに気が付いてゐた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
父の一身が忙しくなつたのみならず、私の家庭に用事が多くなつて、祖母や母も困つてゐた。父の歸宅が遲くなることもあるし、屡々しばしば人を招いて酒食をきやうすることもあつた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
第一の美女びぢよに月ふれ千人せんにんの姫に星ふれ牡丹きやうせむ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
祝言しうげんの座にしやうぜられぬ仁兵衛ではあるが、いつも厚くきやうせられ調法におもはれた。仁兵衛は持前の謡をうたひ、目出度めでたや目出度を諧謔かいぎやくで収めて結構な振舞ふるまひを土産に提げて家へ帰るのであつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)