飢死うゑじに)” の例文
「いえ、わたしはまだもつと働けます。今、休むと、うちの者が飢死うゑじにしてしまひます。もつとよく働きますから続けさして下さい。」
こほろぎの死 (新字旧仮名) / 村山籌子(著)
さまし立歸りしに財布の見えねば南無三と取て返してさがせし處只今の次第ゆゑ此上は親子三人飢死うゑじにより外なしと覺悟致せしと涙を拭々ふき/\かたりければ駕籠舁かごかきは始終を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此時こゝろづきて腰をさぐりみるに握飯にぎりめし弁当べんたうもいつかおとしたり、かくては飢死うゑじにすべし、さりながら雪をくらひても五日や十日は命あるべし、その内には雪車哥そりうたこゑさへきこゆれば村の者也
「その代り、俺が死んでしまへば、濱路は誰も氣の付かぬところで飢死うゑじにだぞ。——この鐵馬といふ近い身寄があり乍ら、大坪家の跡取りにも、娘の婿にも考へなかつたばちだ。へツ、へツ、へツ、へツ」
これがなければ親子二人が飢死うゑじにだからな。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)