食卓ちやぶだい)” の例文
すべてが恁麽こんな具合で、朝餐あさめしも済んだ。其朝餐の時は、同じ食卓ちやぶだいに源助夫婦と新さんとお八重お定の五人が向ひ合つたので、二人共三膳とは食へなかつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「まあ臺所だいどころ使つか食卓ちやぶだいか、たか/″\あら鐵瓶てつびんぐらゐしか、んなところぢやへたもんぢやありません」とつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この家の一番奧の上等座敷らしく、眞中まんなか紫檀したん食卓ちやぶだいゑ、其の上へ茶道具と菓子とをせてある物靜かさは、今まで村の若いしゆが底拔け騷ぎをしてゐたへやとも思はれなかつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
その宿直室には、校長の安藤が家族——さいと二人の小供——と共に住んでゐる。朝飯あさめし準備したくが今漸々やうやう出来たところと見えて、茶碗や皿を食卓ちやぶだいに並べる音が聞える。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)