顔立かほだて)” の例文
旧字:顏立
そして一目見るとすぐに、すこしあけツはなしのてんのあるかはりには、こせつかぬ、おツとりとした、古風こふう顔立かほだてであることを見て取ツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
美しい顔立かほだてではないけれど、愛嬌に富んで、色が白く、漆の様な髪の生際はえぎはの揃つた具合に、得も言へぬなまめかしさが見える。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
蟇の如く胡坐をかいた男は、紙莨たばこの煙をゆるやかに吹いて、静かに海を眺めて居る。くぼんだ眼窩めつぼの底に陰翳くもりのない眼が光ツて、見るからに男らしい顔立かほだての、年齢としは二十六七でがなあらう。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)