顏馴染かほなじみ)” の例文
新字:顔馴染
町内の衆と顏馴染かほなじみがないので、誰も氣が付かなかつたかも知れませんが、あつしはよく知つて居ります。
やがてくれるまでたづねあぐんで、——あかしの茶飯ちやめしあんかけの時刻じこく——神樂坂下かぐらざかした、あの牛込見附うしごめみつけで、顏馴染かほなじみだつた茶飯屋ちやめしやくと、其處そこで……覺束おぼつかないながら一寸ちよつと心當こゝろあたりが付いたのである。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
顏馴染かほなじみの片瀬の小磯屋=女將がお世辭もので、なか/\乙な旅籠屋で御座いますが=其處で、二た晩暮し棧橋の下を通れるやうになつてから、いの一番に島へ渡つて、千之助さんが
お靜が水茶屋に奉公してゐる頃の顏馴染かほなじみには相違ありませんが、かう言つた肌合ひの女——金が有り餘つて、意氣とか通とかを持藥にしてゐる、遊藝の外に生活興味のない人間と附き合ふのを
「甥の喜太郎は明神樣の境内へ行つて遊んで居ました。近所の子供達とは顏馴染かほなじみで、何時もの事ですから氣にも止めずに居ると、相生町から迎ひの者が來て連れて行つたといふことで御座いました」
銭形平次捕物控:050 碁敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
ひなとお染は顏馴染かほなじみ、別に聞くこともありません。
顏馴染かほなじみの野良犬も來てはゐなかつたのです。