うなず)” の例文
「ええ」とうなずきながら、ぼくはふいと目頭が熱くなったのに、自分でおどろき、汗をぬぐうふりをすると、あわてて船室に駆け降りました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
筒井はだまってうなずいて見せた。この四年のあいだに女としてまもるものを守った彼女は、なにか苦行を終えた後のような身の軽さが感じられた。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
廉平は雲をいだくがごとく上から望んで、見えるか、見えぬか、あわただしくうなずき答えて、直ちに丘の上にくびすめぐらし、栄螺さざえの形に切崩した、処々足がかりの段のある坂を縫って、ぐるぐるとけて下り
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたしはうなずいてみせた。
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)