青磁色せいじいろ)” の例文
ただ心懸けておいてもらいたいのは、行ってから二三日以内に、本棚のうえにおいてある青磁色せいじいろ大花瓶おおかびんを必ず壊すこと、これはぜひやってください。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
で、華奢造きゃしゃづくりの黄金煙管きんぎせるで、余りれない、覚束おぼつかない手つきして、青磁色せいじいろの手つきの瀬戸火鉢せとひばちを探りながら
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼等は二三人の支那人シナじんを除けば、大抵は亜米利加アメリカ人か露西亜ロシア人だった。が、その中に青磁色せいじいろのガウンをひっかけた女が一人、誰よりも興奮してしゃべっていた。
彼 第二 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ある人はこれを「か細いくきに均衡のとれた青磁色せいじいろの花をのせた昼顔ひるがお」に例えている。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
青磁色せいじいろの流行が
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あしの穂といはず、草と言はずむしり取つて、青磁色せいじいろの長い爪に、火をかざして、ぶく/\とすいつけた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女はまだ見た所、二十はたちを越えてもいないらしい。それが壁へ貼った鏡を後に、絶えず鉛筆を動かしながら、せわしそうにビルを書いている。額のき毛、かすかな頬紅ほおべに、それから地味な青磁色せいじいろの半襟。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)