青海原あおうなばら)” の例文
見渡す限りの青海原あおうなばらで、他の船の帆の影さえ一つも見えない。見えるものは、空と、雲と、水と、それから空を飛ぶ信天翁あほうどりと、かもめだけのものです。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ただあの茫洋ぼうようたる青海原あおうなばらに突き進み、ことに一点の目標もない水平線を越えて行こうとするには、ちょうど最近代の航空も同じように長期の経験と準備と
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
葉子の家の裏あたりから、川幅は次第に広くなって、浪にただよっている海猫うみねこの群れに近づくころには、そこは漂渺ひょうびょうたる青海原あおうなばらが、澄みきった碧空あおぞらけ合っていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そのほかはなにひとつまるものもなく、どこをても、ただ茫々ぼうぼうとした青海原あおうなばらでありました。
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
非常によい天気であったので、僕は甲板へ出て、いい心持ちで清らかな朝の日光にひたりながら、僕の部屋の腐ったような臭いとはまるで違った、薫りの高い青海原あおうなばらのそよ風を胸いっぱいに吸った。
青海原あおうなばら沖さけ見ればあらしほを空にいぶきて鯨浮べり
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
狭間はざまに漏るる青海原あおうなばら、沖にしずかかもめの波。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)