雨蛙あまがえる)” の例文
(この「小説八宗」は『雨蛙あまがえる』の巻尾に載っておる。)それ故、この皮肉を売物にしている男がドンナ手紙をくれたかと思って
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
永年問題になっていた私の時鳥ほととぎすが確定したこと、次にはまた七八年も前から、初夏の夕方には時々家のまわりで鳴くのを、雨蛙あまがえるの一種かなどと思っていたのが
踏みつぶされた雨蛙あまがえるの姿に似ていたようであった。自身のぶざまが、私を少し立腹させたのである。手袋も上衣もズボンもそれからマントも、泥まみれになっている。
逆行 (新字新仮名) / 太宰治(著)
死ねば天堂へ行かれる、未来は雨蛙あまがえるといっしょに蓮の葉に往生ができるから、この世で善行をしようという下卑た考と一般の論法で、それよりもなお一層陋劣ろうれつな考だ。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丘の斜面から聞えてくるウィッパーウィル(原註)の鳴く声。雨蛙あまがえるの不吉な声はあらしの前ぶれだ。ふくろうのさびしい声。突然しげみの中でがさがさいうのは、鳥がおどろいて巣から飛びたつ音だ。
朝夕の散歩に千恵子はいつもその日本アルプスの山々を眺め胸をはっているのに、ミネの方は足下の高山植物や、小さな雨蛙あまがえるが八ツ手の葉の上で昼寝している姿のおかしさばかりが目についた。
妻の座 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
次の年ある日雨蛙あまがえるがなめくじの立派なおうちへやって参りました。
蜘蛛となめくじと狸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
でまりや花に座を組雨蛙あまがえる 伊珊
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
雨蛙あまがえる
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
あれは探偵小説ではないのだ。むしろ、おまえの「雨蛙あまがえる」のほうが幼い「落ち」じゃないのか。
如是我聞 (新字新仮名) / 太宰治(著)
世の中には羞恥心の全く欠けた雨蛙あまがえるのような男がたくさんいて、(これは、私にとってあたらしい発見であった。)ちかごろ、「狂的なひらめき。」を見せたる感想断片が