難波橋なにわばし)” の例文
夜十二時すぎでもあったか、難波橋なにわばしの上に来たら、下流かわしもの方で茶船ちゃぶねのってジャラ/\三味線を鳴らして騒いで居る奴がある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
土橋どばし難波橋なにわばしかをわたって省線のガードをくぐると、暗い壁のおもてに、血盟団を釈放せよなど、不穏な語をつらねたいろいろの紙が貼ってあった。其下にはいつも乞食が寝ている。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
るとき難波橋なにわばし吾々われわれ得意の牛鍋屋うしなべや親爺おやじが豚を買出して来て、牛屋うしや商売であるが気の弱いやつで、自分に殺すことが出来ぬからと云て、緒方の書生が目指された。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その時大阪中で牛鍋うしなべわせる処はただ二軒ある。一軒は難波橋なにわばし南詰みなみづめ、一軒は新町しんまちくるわそばにあって、最下等の店だから、およそ人間らしい人で出入でいりする者は決してない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)