雄図ゆうと)” の例文
既成仏教の迷信を嫌い、気がよくて、情にもろく、しかも国際的な雄図ゆうとも抱いているという坊さん頭である。画家も描きにくいことだろうと思う。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
而して我儕われらが折角骨折って小石を積み上げて居ると、無慈悲の鬼めが来ては唯一棒に打崩す。ナポレオンが雄図ゆうときずくと、ヲートルルーが打崩す。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そうして我儕われらが折角骨折って小石を積み上げて居ると、無慈悲の鬼めが来ては唯一棒に打崩す。ナポレオンが雄図ゆうとを築くと、ヲートルルーが打崩す。
地蔵尊 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
日本人の度量どりょうは、太平洋よりも広いんだ、昔から日本人は海外発展にこころざして、落々らくらくたる雄図ゆうとをいだいたものは、すこぶる多かったのだ、この山田という人は通商つうしょうのためか、学術研究のためか
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
青野ヶ原の彼方かなた美濃みの近江おうみの山々のかげへと——荘美な夕雲のいろだけを残して、刻々、沈んでゆく落日の大悲光こそ、さながら、やがて大坂城に、雄図ゆうとの多恨と身辺の情恨をのこして
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、女の髪の毛で、男児の雄図ゆうとは左右できない。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)