随意ずいい)” の例文
旧字:隨意
何ひとつ指図さしずをせず、また、塾生たちから何かたずねられても、「ご随意ずいいに」とか、「適当に考えてやってくれたまえ」とか
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
右のうち吹針には武技ぶぎをもって試合することを、また遠駆けには相手方、騎乗きじょう徒歩かちいずれにても随意ずいいたるべきものなり
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あなたが法廷へこの事件じけんをお持ち出しになるのはご随意ずいいです。わたくしはあなたがおっとのご兄弟でいらっしゃるために、わざとそれをさしひかえたのでございます」
九州へ立つ二日前兄が下宿へ来て金を六百円出してこれを資本にして商買しょうばいをするなり、学資にして勉強をするなり、どうでも随意ずいいに使うがいい、その代りあとは構わないと云った。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「奥様から、御調べがすみましたら失礼ですが御随意ずいいに御引取り下さいますように申上げてくれということでした。それから警察の方への届けなんかも、よろしく御計おはからい下さいます様に」
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「どうぞご随意ずいいに」鴨田は云った。「僕も今夜は帰りません」
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その辺は各班のご希望によって、ご随意ずいいにお願いいたします。夕食は五時半に、本館の広間に集まって、ごいっしょにいただくことにしておきました。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ぜひがない、随意ずいいにするがいいと、かぶとをぬいだような顔をして、苦情くじょう紛争ふんそうにけりをつけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しこの記録が事の真相であったとしても、迷惑を感じる関係者は多く故人となっているので、発表をはばかる所は殆どないのであるが、念の為に書翰中の人名、地名はすべて私の随意ずいいに書き改めた。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「なるほど、よくわかりました。どうか、ご随意ずいいになすっていただきます。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
いずれを選ぶも随意ずいいと、あっさり告げて帰った。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
随意ずいい、帰国せよ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)