陸稲おかぼ)” の例文
旧字:陸稻
陸稲おかぼの粗悪な餅はいつまでもやわらかで伸びるものですが、安値な大福餅が夜になっても固くならないのは道理なのです。
甘藷さつまつるもかえさねばならぬ。陸稲おかぼきびひえ、大豆の中耕ちゅうこうもしなければならぬ。二番茶にばんちゃまねばならぬ。お屋敷にしかられるので、東京の下肥しもごえひきにも行かねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
顔をしかめたり、自分で調合した薬をんだりしていたのであったが、それでも、山の畠に、陸稲おかぼの落ち穂を拾いに行くのだと言って、嫁のおもんがめたにもかかわらず
山茶花 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
農民一(登場 枯れた陸稲おかぼをもっている)「稲の伯楽ばくろうづのぁ、こっちだべすか。」
植物医師:郷土喜劇 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
新田しんでんの仁兵衛が高らかに陸稲おかぼの自慢をする、沢井の太平が大根の太いことを語ると、山崎の文五郎が刀豆なたまめの出来栄えを心配する、草花の娘ッ子はよく働くが、淵の上の後家はおしゃらくだ
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
最早早生わせ陸稲おかぼも蒔かねばならぬ。何かと云う内、胡瓜きゅうり南瓜とうなす甘藷さつま茄子なすも植えねばならぬ。ひえきびの秋作も蒔かねばならぬ。月の中旬には最早大麦おおむぎが色づきはじめる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
農民二「陸稲おかぼさっぱり枯れでしまったます。」
植物医師:郷土喜劇 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
畑ではズボラの武太さんはふんどし一つで陸稲おかぼのサクを切って居る。十五六日は、東京のおぼんで、此処ここ其処に藪入姿やぶいりすがたの小さな白足袋があるく。甲州街道の馬車は、此等の小僧さんで満員である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
農民二「陸稲おかぼのごとでもわがるべすか。」
植物医師:郷土喜劇 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)