“附句(つけく)” の例文
当夜の連歌会では、光秀の発句に始まって百韻に及び、終りの揚句(あげく)も光秀の附句(つけく)で結ばれたが、後まで伝えられた聯詠(れんえい)はわずか十吟にも足らない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
只(ただ)今私の心づいた僅かな附句(つけく)の中からでも、なお江戸中期の山伏の境涯、少なくとも世の俗人たちがそれをどう見ていたかだけは、おおよそは判(わか)るように思われる。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
連句で附句(つけく)をする妙趣は自己を捨てて自己を活かし他を活かす事にあると思う。前句の世界へすっかり身を沈めてその底から何物かを握(つか)んで浮上がって来るとそこに自分自身の世界が開けている。
断片(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
元禄二年板(ばん)の其角(きかく)十七条に、附句(つけく)の例として
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
とにかく次の北枝の附句(つけく)では、是を上流の未亡人などの、夫(おっと)におくれて無常を観ずる者に取っているから、前句(まえく)の表現はかえって一応は女の名と解せられたものと見られる。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのあとへまた附句(つけく)のように
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも前段は大きな古御殿(ふるごてん)に、美しい姫君の幾方(いくかた)か住んでおられる風情で、中古の絵巻物を見るようであり、芭蕉の附句(つけく)の方は是をもう戦国の軍記ものまで引下げている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)