阿蘇山あそさん)” の例文
今でも時々噴火をするが、浅間山あさまやま阿蘇山あそさんのように、大爆発をして、噴煙が天にちゅうし、数百マイルのかなたまで灰を降らすというようなことは決してない。
黒い月の世界 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
阿蘇山あそさん白煙はくえんを目がけて霜を踏み桟橋を渡り、路を間違えたりしてようやく日中おひる時分に絶頂近くまで登り、噴火口に達したのは一時過ぎでもあッただろうか。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そのくらゐですからえだもおそろしくしげりひろがつてゐてあさ杵島岳きしまだけかくし、夕方ゆふがた阿蘇山あそさんおほつて、あたりはひるも、ほのぐらく、九州きゆうしゆう半分程はんぶんほど日蔭ひかげとなり、百姓ひやくしようこまいてゐたといひますが
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
舟は豊後国佐賀関ぶんごのくにさがのせきに着いた。鶴崎つるさきを経て、肥後国ひごのくにに入り、阿蘇山あそさんの阿蘇神宮、熊本の清正公せいしょうこうへ祈願に参って、熊本と高橋とを三日ずつ捜して、舟で肥前国ひぜんのくに島原に渡った。そこに二日いて、長崎へ出た。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)