防遏ぼうあつ)” の例文
鷲王しゅうおう龍王りゅうおうとのあいたたかうが如き凄惨狠毒せいさんこんどくの光景を生ぜんことを想察してあらかじめ之を防遏ぼうあつせんとせるか、今皆確知するあたわざるなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
軍隊出動して防遏ぼうあつ、其後も各要路に小激戦が行われたが今暁に至って全く鎮静し、数十名の死傷者のあったこと。
地図に出てくる男女 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
『太平記』は正行の奮闘は詳説するくせに、此等の諸軍の動静を閑却して居るが、師泰なんか四条畷戦後、北畠軍に大いに進軍を防遏ぼうあつされて居るのである。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そして外面から来る誘惑、就中なかんずく異性の誘惑は、この自ら喜ぶ情と媚とが内応をするので、己の為めには随分防遏ぼうあつし難いものになっているに相違ないのである。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
行われおる多人数の通夜の習慣は、この種の妖異の防遏ぼうあつに最も有効なる事が古来幾多いくたの人々の経験に依って知、不知の間に確認せられおりし事を今日に立証しおるものと見るを得べし。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
惴々ずいずい焉としてその侵入を防遏ぼうあつしようとしておる。