防波堤ぼうはてい)” の例文
母は昨夕の暴風雨あらしをひどくこわがった。ことにその聯想れんそうから出る、防波堤ぼうはていを砕きにかかる浪の音をきらった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぎらぎらと光る砂が彼の眼を射すくめたが、陽炎かげろうのあがるその砂丘の向こうに、幻燈のようにまっ青な海が横たわり、防波堤ぼうはていに白い飛沫しぶきをあげて、だうんだうんと鳴っていた。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
その明くる朝は起きた時からあいにく空にが見えた。しかも風さえ高く吹いて例の防波堤ぼうはていくだける波の音がすさまじく聞え出した。欄干らんかんって眺めると、白い煙が濛々もうもうと岸一面を立てめた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
むこうの石垣まで突き出している掛茶屋から防波堤ぼうはていの上にけ上った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)