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関屋
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せきや
松平蔵之丞様のお屋敷と、
須田村の間をぬけて、
関屋の里まで行き着いた主従四人は、
綾瀬川の橋のたもとにたちどまって
清盛はいくら
常磐を
探しても
見つからないものですから
困って、
常磐のおかあさんの
関屋というおばあさんをつかまえて
これやこの、知るも知らぬも逢坂の、行きかう人は
近江路や、夜をうねの野に啼く
鶴も、子を思うかと哀なり。番場、醒が井、柏原、
不破の
関屋は荒れはてて、ただ漏るものは秋の月。
一たびこのところ
決潰せむか、
城の
端の町は
水底の都となるべしと、人々の恐れまどひて、
怠らず土を
装り石を
伏せて堅き堤防を築きしが、あたかも今の
関屋少将の夫人姉上十七の時なれば
辻斬り商売のお
十夜孫兵衛、本名は
関屋孫兵衛である。もと阿波の国川島の
原士、
丹石流の
据物斬りに非凡な
技をもち、風采もなかなか立派だが惜しむらく、
女慾にかけても異常という性質がある。