閑文字かんもんじ)” の例文
頬杖をつき、読みさしの新聞にむかひしが、対手酒のほろ酔と、日当りの暖か過ぐると、新聞の記事の閑文字かんもんじばかりなるにて、ついうと/\睡気を催しぬ。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
ただこの神経衰弱と狂気とは否応いやおうなく余をつて創作の方面に向はしむるが故に、向後きょうごこの『文学論』の如き学理的閑文字かんもんじろうするの余裕を与へざるに至るやも計りがたし。
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今の青年はいややともすると実用なる科学智識の研究を閑却してヤレ詩を作るの歌をむのあるいは俳句を案ずるのと無用な閑文字かんもんじ脳漿のうしょうしぼっているが、そんな事は専門家にすべき事だ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)