鎖鎌くさりがま)” の例文
三峰の奉納試合に、梅軒が八重垣流の鎖鎌くさりがまの秘を尽して坂東の剣術者をほとんど総薙そうなぎにほうむったおととしの記憶などを思いうかべていた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太刀たち、二やり、三鎖鎌くさりがま、四には手裏剣、五に含み針と数え歌にもあるじゃねえか。口に含んでこれを一本急所に吹き込んだら、大の男も命をとられるというあの含み針だよ。
よく尋ねるとボーラズをしたんで、ボ様の物が英国にないので遠く多少の似た点がある故棓を当てたのだが、実は日本で言おうなら、棓よりは鎖鎌くさりがまとともに使う分銅ふんどうが一番ボーラズに似居る。
鎖鎌くさりがまの名人飛鳥とぶとり左近吾がこれも同じく膝を進め
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
藤次は、手馴れの鉄砲を持つがよいし、自分は、いつもの鎖鎌くさりがまを用意して来ている。——ほか二人の番僧は槍を持ってもう先へ出たはずである。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太刀たち、二やり、三鎖鎌くさりがま、四弓、五馬の六泳ぎといってね、総じて武芸というものは、何によらず、恥ずかしがっていると上達しねえものなんだ。えへ……だれも見ちゃいないね。
「そうそう、鎖鎌くさりがまについて、おれに聞きたいといったが、おれの知る限りは、何なと話そう。それにしても、酒でも飲みながらでなくっちゃあ」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百鬼夜行ひゃっきやこうということはあるが、これは爛々らんらんたる朝のをあびて、その装束しょうぞくが同じからぬごとく、その武器ぶきやり太刀たち、かけや、薙刀なぎなた鉄弓てっきゅう鎖鎌くさりがま、見れば見るほど十人十色。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宍戸八重垣流ししどやえがきりゅう鎖鎌くさりがまの工夫者であり、鎖鎌を使わせては、天下無敵の達人といわれている。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あれは鎌鍛冶かまかじじゃ、そして鎖鎌くさりがまをつかうそうじゃ。すると旦那は武者修行だの」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長い野太刀をこじりだかに差し込み、鎖鎌くさりがま前差まえざしに帯びている眼の怖い男だった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)