錯視さくし)” の例文
少々せう/\怪我けがぐらゐはする覚悟かくごで、幻覚げんかく錯視さくしかとみづかあやしむ、そのみづいろどりに、一だんと、えだにのびて乗出のりだすと、あま奇麗きれいさに、くらんだのであらう。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いや、こうと見ては、ひとに功名を誇らせてはいられない。崖の地表もまた這いよじる兵の色で塗りつぶされた。ゆるやかに地面が逆に巻きのぼってゆくような錯視さくしがおこる。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)