もん)” の例文
旧字:
汽車の中でねむるにもその上へ白髪しらがの額を押当てて頂いた、勿体ない、鼠穴のある古葛籠ふるつづらを、仏壇のない押入の上段うわだんに据えて、上へ、お仏像と先祖代々の位牌いはいを飾って、今朝も手向けた一もん蝋燭ろうそく
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
弥次郎、いかさま、安い方がいい、蕎麦でいくらだ。女、はい、お蕎麦なら百十六もんでござんさあ。二人は旅銀の乏しさに、そんならそうときめて泊まって、湯から上がると、その約束の蕎麦が出る。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)